Prettywoman

プノンペンのガルバ店長やっています(した)

【人事】カンボジア人のマネジメントについて

最近お店がいい感じである。昔働いてたスタッフが戻ってきたり、元々いたスタッフが新しい女の子を紹介してくれたりと、お店の活気が戻りつつある。女の子の人数が多いとお客さんが好みの女の子を見つけやすい(リピーターになりやすい)ので、ホステスの人数は極めて重要。よそのお店からスカウトしてくるのは時間もお金もかかる割に確実性がないので、スタッフから紹介してもらえるのは有難い。あと今日、キャッシャーの女の子が「(本当は休みたいけど)週末はお客さんが多いから」と言って自分から休みの日をズラしてくれたのは嬉しかった。

 

カンボジアに来てから今まで、悩み続けているのはスタッフとの人間関係。東南アジアで仕事すると"日本人"というだけでマネージャーを担当するケースが多い。僕の場合もそうで、日本でのマネジメント経験が一切無い状態から現場に入った。結果、塾の先生をやってたときはアシスタントの1人が辞めてしまったし、飲み屋を始めてからもたくさんのスタッフが辞めている。 こっちの人は日本人ほど我慢強くないので、仕事(主に上司)が気に入らなかったらすぐに辞めるし、また社会的にもそのことが許されている。「石の上にも3年」的な発想はない。だから、スタッフが辞めたことが100%自分のせいだとは正直思っていないけど、それでも普段からスタッフをよく観察して早い段階から問題をつぶしていれば、辞めるのを防げたケースは間違いなくある。何でも早期治療が大切。

 

現地で商売してる日本人から「カンボジア人はすぐに仕事を辞める」という話を聞く。これは半分正解で半分間違いだと思う。現にうちのマネージャーの2人(ワンテラ)はもう2年働いてる。2人とも「どうすれば会社がよくなるか?」を真剣に考え、自学自習で動く。「この人についていきたい」と思ってもらうこと。「この人は自分のことを大切に扱ってくれている」と相手に感じてもらうことが重要だと思う。 日本はダメな上司でも下の人間が我慢するけど(陰口は叩くにせよ)、日本人ほど我慢強くない外国人相手にそれは通用しない。「お前はダメだ」とはっきり言われるか、(黙って)辞められる。ぼくもスタッフ達から散々「ティーチャー、オッチャラート!(頭が悪い)」と言われ、仕事が終わってからは「全部、自分(君)が悪い」と社長に詰められた。本当に毎日説教されるが、言ってる内容はいつもシンプルで突き詰めれば「スタッフを大事にしろ」。

 

カンボジアに来る前、リーダーといえばカリスマ性を持っていることが重要で、資質的な要素が大きいと思っていた。実際にマネージャーのポジションを1年やってみてそれはあまり関係ないなと思うようになった。それよりもスタッフのことを大事に扱えるか(ように見せられるか?)や、相手に愛情を伝える努力(工夫)を続けられる、そういうある種の"マメさ"が人の上に立つ人に求められるのだと思う。

客引きを通じた出会いについて

今日はチラシを渡してお店に来てくれたお客さんに飲みに連れていって頂いた。元々ご本人もBARを経営されていたせいか行く先々のお店で女の子を教育されてたのが印象的。決して説教くささは無いのだが「○○をしたらドリンクをもらえる」という○○(理由付け)の部分を自然に伝えていた。上司とか社長が注意するよりも、お客さんから言われた方が女の子の印象に残りやすいのだという。

 

夜遊びが好きな日本人は沢山いるけど、夜の女の子に愛情を持って接している人は少ない。太っていて容姿に恵まれない女の子には「ああいう子はポジションが大事だよね。上手くやれば人気出るね」といってそういう役回りを与え、前歯がほとんどない女の子が来たら「この子はお店に居場所が無いんだろうね。ベースは可愛いから勿体無い。歯を治せば人気出ると思うよ」と誰に対してフランクに接する。「相手の言うことを全部受け入れているようにみせかけて、実は自分の意見を通すんだ笑」。なんとなくうちの社長にタイプが似ていると思った。

 

他店の女の子を教育しながらも、他のメンバーに対する気遣いを欠かさない方で(本来は僕の役目なのだが)、ただただ楽しい時間を過ごさせて頂いた。うちのお店に来てお金を落として頂き、お酒をご馳走になり、スタッフとの関わり方まで勉強させて頂き、別れ際には「声をかけてくれて嬉しかった」と言っていただける。カンボジアに来られたのは今回初めてで、今度からは定期的に来られるらしい。リバーサイドで客引きをしてるとカンボジアにいる(来る)ほとんどの日本人男子と交流を持つことができる。こういうご縁に恵まれるのがカンボジアで働くことの醍醐味の1つ。

ガールズバーの経営について考えたこと

うちのお客さんのタイプを大きく2分すると「在住者」と「旅行者」。前者は目が肥えているのでお店のサービスだったり女の子に対する評価が厳しくいい加減な仕事をしているとすぐに悪い噂が広まってしまう。それに比べると旅行者は女の子に対して比較的寛容だし、こっちの金銭感覚に慣れていないから客単価が高い。店としては後者のお客さんをどんどん増やしたいんだけど、観光地でもないプノンペンでそれは期待できないから(メインストリートでも旅行者は1日に2.3組程度しか通らない)、結局は在住のお客さんで売上のベースを構築しつつ、旅行客で上乗せするようなイメージがいいと思う。

 

在住者に何度も通ってもらうには、その店にお気に入りの子がいつもいることが必要。「じゃあ可愛い子をとにかく入れればいいじゃん!」となるのだがそれも少し違っていて、苦労して可愛い子を入れても、あんまり可愛いとお客さんにすぐ囲われてしまうし(今日も新人の子が「月1000$やるから仕事辞めろ」と長時間口説かれてた)、可愛い子を執拗に探し求めるのは若いお客さんが多いから客単価が低いという問題もある。接待目的のお客さん向けに何人かは日本人好みの女の子もいた方がいいと思うけど、メインの子達は”キャラが立ってる”とか”一緒に飲んでて面白い子”をたくさん揃えた方がお客さんも楽しめるし、盛り上がればお酒も沢山飲む、ひいては女子同士のトラブルも減ると思う。

 

あと最近大事だなあと思い始めたのは、お店に来てくれたお客さんの目的を考えること。。たとえば接待でうちのお店を選んでくれたお客さんだったら、主賓っぽいに人気の女の子をつかせて、(表情的に)その子でも微妙だなあと思ったら、思い切って他店を紹介することもある。そのときは名刺だけ渡して次につなげる(正直、これが良い対応なのかどうかは分からない。出張・視察で来てる人は”次”が無いことも多いから自分のお店で飲んでもらう努力をした方が良いケースもあると思う)。以前はこれができず、お客さんに「もっと良い子いないの?」と言われたらオドオドしながら「す、すいません・・」みたいな対応しかできなかったが、お客さんの接待の場に同席させてもらい失敗するうちに少しずつ作法を学んだ。(日本式)接待の場合、主賓にさえ気に入った女の子を付けられれば、他のお客さんはある程度どんな子でも大丈夫だと気付けたのも大きい。

 

「お客さんの目的を考える」ってサービス業にとってはごく当たりの前のことだと思うけど、自分は半年以上経ってようやくそのことを考え始めたばかり、これを考え続けることは以前お客さんに聞かれた「あなたのお店は何がNo1なの?」の答えにもつながる気がする。

カンボジア人と一緒に働くことについて

BARで働き始めたとき、自分以外の全員が外国人(クメール人)という環境にものすごいストレスを感じたけど(問題が起きたとき、自分以外のスタッフが自分の知らない言語でブワーっと話して、結果解決したのかどうかもわからないときの”無力感”とか…)、これはたぶん日系企業で働くクメールの人も同じ気持ちだと思う。

 

彼らの場合、お客さんもほとんど外国人のケースが多いから(クメール人の所得的に日系のサービスや飲食店は中々利用できないはずなので)、僕のときよりも疎外感を感じやすいはず。そんななかで愛情(関心)の感じられない上司しかいなかったら??辞めやすいだろうな。

 

学習塾の先生をやってた頃、2人いたアシスタントスタッフを1人辞めさせてしまった。当時は「良い給料もらってるんだからしっかり働け!」みたいな気持ちを持ちながら接していたから、僕を通り越して当時の社長に直接クレームを入れられるような有様だった。クメール人の特徴(プライドが高い)を踏まえつつ、もう少し相手の立場のことを考えて(当時は20歳近い年上の旦那がいて子供が生まれたばかりの若い女の子)、こまめにケアできれば、たとえ辞めたとしても、今とは違った結果になったんだろうなあとは思う(今はもう連絡が取れない)。「人に優しく」これが難しい。

 

カンボジアで雇用!気をつけるべきこと – CAMBODIA WORK

外国人から見た日本人の評価について

日本ブランドが弱くなったと言われて久しい。海外で外国人相手に商売して思うのは、サービスとか会社の競争力はさておき、日本人そのものはまだ世界的に愛されているということ。日本にいると嫌韓国・中国の空気が強いが、実際に客商売で接してみて、今まで彼らから嫌な対応をされたことがない。「(歴史背景的に)俺は日本人が嫌いだ」という韓国の人に1人だけ会ったことがあるけど、その人でさえ一緒に酒を飲んだら「お前は兄弟だ」と言って、自分の友達をお店に連れてきてくれた。

 

吉本隆明さんが生前、「みなさんが『国』というのは『政府』のことです。『中国が』『日本が』と言っているのは、実はその国を治めている『為政者』の話をしているんです」と言ってたけど、どこの国が好き/嫌い"というのはその国の「政府」に対してだから、民間(人)同士ではいくらでも仲良くできるということ。

 

カンボジアで韓国の方と交流! – CAMBODIA WORK

 

 

カンボジアの若者が店舗での買い物を好む傾向について

カンボジアの人は見栄っ張り! – CAMBODIA WORK

 

日本だと若い人を中心に店舗よりネットで買い物を済ませる人が多いと思うけど、カンボジア人は若者が多い国(平均年齢24歳)の割に店舗での買い物を好む。このことを「宅急便が無いからネットショッピングが流行らないのかな?」位に考えてたけど、こっちの人に言わせるとそれは少し違うらしい。

 

『横田さん、知らないんですか?あいつら(クメール人)はかっこつけたいんですよ?お店で高いものを買うところを他の人に見てもらいたい。買った商品の袋を持ち歩きたいからちょっと高くてもイオンで買うんです。ネットで買ったら、誰も見てくれないじゃないですか!』とのこと。知らんわ。

 

「お店まで買い物に行く時間が惜しい(タイムイズマネー)」という発想はこっちの人に無いらしい。日本人と同じ価値観(だろう)という考えでクメール人相手に商売したら確実に失敗するんだろうなあと思った次第。